2009年8月27日 (木)

白山・その5

室堂で荷物を整理し、下山することに。

さようなら、室堂。

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ご飯とお味噌汁のおかわり無料サービスが嬉しかったよ…
布団が一人一枚ずつあって嬉しかったよ…

またいつかここに来ることを誓いつつ、私たちは帰路についた。

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下山は登りよりずっとキツイ。
登山時の疲れもほどよくたまっていて、うっかりすると足を滑らしそうになる。

アブナイアブナイ。

子供たちは全く疲れ知らずで、いつものことながら下りのスピードは本当に速い。

…が次男だけがペースダウンし始めた。
どうした?

どうやら靴ずれができかけているようだ。

こんなときは・・・
ガサゴソ・・・

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マリオバンド~!

今年は不要かと思われたキャラクターバンドエイドがやっと役に立つときが来た。

―やっぱり山登りと言えばマリオバンドは必須よね。

靴擦れの次男には申し訳ないが、母はほんの少し嬉しかったりもした。

バンドエイドのおかげで元気になった次男を含め、子供たちはどんどんペースを上げて下りていく。

私たちはついていくのがやっとだ…
イヤ、もう無理!!

子供たちは先頭のN西♂(この人はフルマラソンを走るだけあって私たちとは別格)に任せ、残りのオトナ3人は年相応のペースでゆっくり下山することにした。

あぁ、膝がわらっている。
ゆっくり下りないと・・・

3人が自分たちとしては非常に頑張って最速のスピードで山を下りきったのは、先頭のオトナ1人+子供3人がふもとに着いてから随分あとのことであった。

来年は負けないように頑張って体力つけようっと。

   ***     ***     ***

白山登山が終わって我が家の夏は終わった。

しかし私の中では山登りは今年で終わりではないのである。

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帰ってからすぐに買ったのは愛読誌『ヤマケイJOY』。

目線はすでに来年の夏山!
来夏はアルプス??

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2009年8月25日 (火)

白山・その4

翌朝は室堂周辺から御来光を拝む。

やまぎわすこしあかりて…

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御来光―

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太陽はぐんぐん上がっていき、山肌を照らす。

視界は良好。
雲があちこちに見えるけどまずまずのお天気だ。

私たちはまとめた荷物を室堂の一角に置かせてもらい、身軽になった状態で山頂を目指した。

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雲の中に入っているのだろう。
上に行けば行くほど霧が立ち込めた状態で、湿った空気が心地良い。

大きな虹が次々と現れては消え、また現れる。

黙々と歩き30分ほどで―

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白山御前峰登頂。
標高2702m。

この後、私たちは山頂付近にある火口湖や万年雪、高山植物を見て歩く「お池めぐりコース」をたどって荷物のある室堂へ戻った。

それにしても今年の白山は子供たちにとっては楽勝だったようだ。

天候に比較的恵まれたことが最も大きな要因だろうが、1年前の山登りでは次男の必須アイテムだったマリオバンドは全く不要だったし、おやつ休憩もほとんどいらなかった。

長男は長男で自分の荷物+αを持って山に登れるようになったし。

マリオバンド持参で山に挑んだ母としては少し寂しいような気もする・・・

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2009年8月22日 (土)

白山・その3

“高山植物の宝庫”と言われるだけあって、夏の白山は様々な花で彩られていた。

森林限界を越えるとこんなお花畑があちこちで見られる。

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曇天でも十分美しいが、青空の下であったらどんなにきれいな光景だろう。

「黒ボコ岩」から宿泊地である山小屋「白山室堂」へ向かう道は、木道で整備された「弥陀ケ原」に入る。

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この木道は歩きやすさだけでなく、高山植物を保護する目的もあるのだろう。
高山植物は生長が遅く、人間に踏み荒らされた地は生態系が変わってしまうそうだ。

弥陀ケ原を抜けて白山室堂へ続く石道に入る。
振り返ると・・・

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雄大な風景が広がる。

ここまで来たら室堂はもうすぐだ。

ガンバレ ガンバレ…

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ヤッター!
室堂到着!!

標高2450m。
ここから山頂へは40分ほどで着くらしい。

思ったよりずっと早く着いたので、のんびりと宿で過ごす。
去年の富士登山を思い描いていたので少々拍子抜けなくらいだ。

思えば富士は過酷であった・・・

白山は緑が美しく、年によるのかもしれないが水も比較的豊富で、富士のように殺伐とした感じがない。

宿の布団も一人一枚!(←富士山では二人で一枚)
スタッフもなんだかおっとりとしているように見える。

白山だけが特別な山なのか?
それとも富士山だけが特別な山なのか?

いやいや、それにしても「白山の翌年に富士山」でなくて良かった。

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2009年8月20日 (木)

白山・その2

<白山にはいくつもの登山ルートがある。
今回私たちは己の実力と天候を考え、最もメジャーな「砂防新道」を行くことにしていた。>

吊り橋からスタートした砂防新道はしばらくは水の音を聞きながら山道を進む。

遠くに見える、濃き緑の山の中腹から流れ落ちる滝が白い糸のようで美しい。

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清々しい水音に混じって何やら工事音も聞こえる…
と思ったら、山道のすぐ脇に工事のお兄さんたちが。

なるほど。
“砂防”新道やもんね。
お仕事、お疲れ様ッス・・・

   ***   ***

心配した雨も霧雨程度だったので、途中休憩した中飯場でレインコートを片付ける。

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トイレと水補給を済ませ、再度出発!

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ここから次の休憩ポイントである甚之助避難小屋までは1.9km。

ここまではマリオバンドの助けも借りず、おやつの出番もほとんどなかったが、この先はどうかな…

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夏の山は緑が美しい。
ただ美しいだけでなく、向こうの山から湧き降りてくる雲が神々しさを醸し出している。

私たち一行7名は甚之助避難小屋も通過し、霧煙る山道をひたすら歩いた。

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さぁ、次のポイントの「黒ボコ岩」はもうすぐだ。

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ヤッター!
標高2320m!!

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・・・しかしキミたち余裕だね。

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2009年8月19日 (水)

白山・その1

前にも書いたかもしれないが、私の目下の愛読誌は―

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『山と渓谷』
『ヤマケイJOY』。

そして我が家のファミリーレジャーに関しては、私はかなりの力で決定権を握っている・・・フフフ・・・。

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…というわけで子供たちのブーイング(注:次男によると「お友達のうちはどっこも山なんか行かへんのになんでウチだけ~」。)には全く耳を貸さず、今夏の山は日本三名山の一つ、白山に決定!

   ***   ***   ***

早朝の金沢駅で夜行バスから登山バスに乗り換え、雨模様の町をバスに揺られること約2時間―。

霧雨の降る白山砂防新道登山口“別当出合”では、合羽を装着した登山客が次々と山に向かって出発していた。

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私たちもリュックにカバーをかけ、いざ出発!

まずは目の前の川にかかっている吊り橋を渡る。
まるで映画『ゆれる』に出てくる橋のようだ。

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反対側から人が来なかったから良かったものの、交差するのはちょっと怖そうだ。

犬が苦手な長男なぞは、向かいから来るのがチワワだったとしても大パニックに陥ること間違いない・・・

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橋は結構長く、最後尾を歩く私の足元はみんなの振動を受けてゆれるゆれる。

コラコラ。
走るな子供!

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2009年1月 3日 (土)

高見山

あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

…年明け早々のブログが年末の話というのもなんだが、年末のある日オットと二人で山に行ってきた。

登った高見山は標高1248m、奈良県と三重県の県境に位置し、冬季には霧氷・樹氷が美しい名山だ。

なんでも“関西のマッターホルン”と呼ばれているらしく、1月末~2月の霧氷シーズンにかけては多くの登山客で賑わうそうだ。

シーズン中の混雑を避けるべく、ちょっと早いがそのマッターホルン・関西版に霧氷を期待して出かけた。
2008年の登り納めだ。

08123002近鉄榛原駅からローカルなバスに揺られること1時間余りで登山口に到着。

その日は比較的暖かな日曜で、登山口周辺はもちろん、周囲の山にも雪らしいものは見当たらない。

ダメかなぁ…

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他には登山客はほとんどいない冬枯れの山道を黙々と歩く。
子供たちがいないのであまり休憩をとることもなく、ただひたすら歩く。

歩き始めて約1時間、08123004時折霜柱が見られるようになってきた。
そして木々の切れ間から見え隠れする山頂をふと見上げると・・・

うっすらと白くなっている!!

これは期待できそうだ。
足取りも軽やかになる。

08123005 そして急な登り斜面となった途中からは下界とは別世界が広がっていた…

落葉した木々には美しい霧氷がつき、白い花が咲いているようだった。

08123006ほんの30分前とは打って変わったような風景に、“関西のマッターホルン”と言われる所以を実感した。

・・・それにしても頂上の寒いこと!

天気は決して悪くないのだが、風がゴウゴウと吹き、フラフラしていると吹き飛ばされそうだ。

私たちは持参した軽アイゼンをつけ、早々に山を下りることにした。

081230071時間も歩くと山はまた暖かな冬の陽だまりに包まれた。
これだから山は面白い。

―今年もいっぱい山に登るぞ。

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2008年10月15日 (水)

伊吹山・再び

前回の5月から再び訪れた伊吹山。

081015ibuki02新緑が爽やかだった前回に比べ、ススキや刈安が風にゆられて山はすっかり晩秋の装いになっていた。

う~ん、秋だなぁ…。

どーでもいいことだけど、今回は初めてマリオバンドの力を借りることなく登頂できた、記念すべき山登りとなった。

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2008年9月27日 (土)

富士山7

午前11時15分、私たちはとうとうニッポン一の山の頂点に立った。
しかしそこは風の吹き荒れる厳しい世界で、記念撮影はおろか、じっと立っている気にもなれない状況だった。

他の登山者たちも同じようで、登ってきた人たちはみな風を避けられる手近な山小屋に入っていく。
私たちもそこへ吸い込まれるように入っていった。

そこは…山小屋ではなく神社だった。

風雨を避けられる場所は悪天候時には本当にありがたい。
神様、ありがとうございます。

だがいつまでもそこにいるわけにはいかない。
天候が回復しそうな兆しはなく、悪化すれば下山できなくなる可能性もあるのだ。

それに8月とは言っても山頂は寒い。
次男は寒くて怖くて「早くバスのところに帰ろう」と涙目で訴える。
私たちはトイレに行ったYちんとオットが戻ってくるのを待って下山することにした。

彼らが戻ってきたとき、ややパニック気味の外人女性が同じタイミングで神社に入ってきた。
なんでも一人で登ったはいいが、下山できなくなってトイレで震えていたとか。

私たちは一緒に下山することにした。

ゴォォ~~~~

神社の外に出ると相変わらず嵐のような風が吹いている。

たった今、やっとの思いで登ってきた岩だらけの登山道を、この風の中下りるのはとても危険なように思えたが、それでも下山道よりは安全らしい。

一歩一歩、着実に足場を見つけ、ソロリソロリと下りていく。
標高が下がれば風が弱くなることを期待しながら…。

下山し始めて改めて気づいたのだが、この悪天候の中でも富士山には種々多様な人たちが登っていく。
関西から来た富士登山バスツアーの団体さんともすれ違ったが、老若男女入り混じっており、中にはガイドさんらしき人に手をひかれたおばあさんもいた。

あのおばあさん、大丈夫だったかな・・・
添乗員さんも大変だなぁ・・・

20分ほど下っただろうか、状況はまだまだ予断を許さないものの、「無事に帰れるかなぁ」という思いから「下山できる」確信へと一行の雰囲気も変わってきた。

頂上で震えていたアメリカ人女性Mさんも
「一人じゃ怖いけど8人だったら楽しいわね」
と言うくらいの余裕が出てきた。

このMさん、一人で富士山に来て夜中に頂上にたどり着いたそうだが、その服装は京都の街中で見るバックパッカーとたいして変わらない。
富士山で何人も同じように軽装の外人さんを見かけたが、彼らはフジが3000m級の山だということを知っているのだろうか?

Mさんに「なんで富士山に登ろうと思ったの?」と聞いてみた。

―フジサンハユウメイナヤマダシ、テレビデコドモデモノボッテイルノヲミタカラ。

「そやけどテレビの子供はそんな軽装とちゃうかったやろ?」
と関西人らしくツッコミを入れたかったが、私の頭にすぐ浮かんだのが

あなたはもっと適切な格好で富士山へ来るべきだったのに…(でもそうしなかった)。」

という、中学英語の英文法を駆使した、受験では○をもらえるかもしれないが実際の英会話ではジョークとして聞いてもらえそうにない英文だったので、黙って微笑みを返すだけにした。

私が余計なことを言わなかったからか、Mさんはだんだん本来の陽気さを取り戻し、元気になっていった。

下山するにつれて風もだんだんおさまり、普通の下り道に変わったので気持ちにゆとりができて会話も弾む。

次男は仲間に加わったMさんをとても気に入った様子で、
「ドゥー ユー ノウ マイケル・ジャクソン?」
など6歳男児にしては気の利いた話題を振ったりした。

彼はMさんがアメリカ人だと知った上でマイケルの話をしたのだろうか?
なかなかやるな、次男・・・

いつのまにか身の危険を感じる山から通常の山に戻ったので、途中からは下山道を使うことにした。

そこは須走口。
「砂を走る」→「砂走り」→「須走」となったというだけあって、砂の坂が延々続いている道だ。

疲れきった足で下りばかりが延々続く道を行く。
しかも止まりたくても止まれない…

これは本当にきつかった。
下山に比べたら、ゆっくり進む登山の何とラクなことか!

080926fuji21しかしそう思っているのは大人だけで、子供たちは楽しくて楽しくて仕方ないようで、3人で競争しながらどんどん先へ行ってしまう。
その姿はみるみる豆粒のようになり…

待ってくれぇぇぇ~~~!!

   ***   ***   ***

午後4時、標高2000mの新五合目をストックを頼りにヨロヨロと戻ってくる、二人の女がいた。

「なぁ、私らって登っていくときに見たヨロヨロした男の人よりひどいかもなぁ…」
「きっと『あの人たちどうしたんやろ?』って見られるねんで…」

私たちは人が見えてくると精一杯元気なフリをして歩いた。
だがその歩き方はきっとロボットのようにぎこちなかったことだろう・・・

   ***   ***   ***

富士登山が終わって私の夏も終わった。
しかし私の登山熱はまだまだ続く・・・

(完)

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2008年9月25日 (木)

富士山6

*** 富士から帰ってきて1ヵ月も経つというのにいまだに完結していないとは…今日こそは終わるぞ…と思いつつ、前回の続き ***

手持ちのウェットティッシュで“脱・鬼瓦権造”した私は日焼け止めクリームを塗るのをあきらめ、バンダナを口に巻いて日よけ・砂塵よけとして出発した。

バンダナの効果はなかなか素晴らしく、「ヒゲ面にならない」というビジュアル面での効果に加えて「口や鼻の中がジャリジャリになるのを防ぐ」という不快指数の歯止めにも威力を発揮した。

おかげで少しは快適に歩けるようになった。

…ような気がしたが依然として風は強く、青かった空もだんだん山の向こう側から流れてくる雲で灰色に覆われてきた。

「早く頂上にたどり着かないと」
と気は焦るが、こう風が強くては思うようには進めない。

風に飛ばされないように必死で足を踏ん張りながら歩き、突風が吹くと地面に両手をついてこらえる…
その歩き方はまるで尺取虫のようだ。

―人間はなんてちっぽけな存在なんだろう。

草木のない岩石だらけの山肌は、どこで落石事故が起こってもおかしくないように見える。

私は万一の場合に備え、歩いている最中も止まっている時も常に上の方の石に変化がないか、神経を張り巡らせていた…その時!

「ブー、ブー、ブー、ブー」

…ズボンのポケットに入れていた携帯のメール着信音だ。

こんなところで、こんな状況で、しかもソフトバンクなのに電波が届くなんて…
全く予期せぬ出来事にやや狼狽しつつメールを見ると

『富士山どうだった?
きれいだったでしょ?』

それは富士登山経験者の妹からの、今のこの状況には似つかわしくない気の抜けたメールだった。

私はすぐさま

『まだ登頂してない!今やっと八合五勺!風が強くて生きるか死ぬかの瀬戸際や!!このメールが下界との最後のやり取りになるかも。』

と返信しようとしたが、過酷な状況にメールを打つのもままならず、『今まさに八合五勺。』と電報並みの短文でよしとした。

―妹なら行間から真意を読み取るだろう・・・

真意も何も、そんな短文から一体何を想像しろと言うのか?

080925fuji19標高は3500mを過ぎ、ますます視界が悪くなっていく。
霧の中を歩いているようで、服の表面がじんわりと濡れる。

登山道を外れた斜面には万年雪が白く積もっているのが見える。
どうやら頂上は近いようだ。

それにしても狭くて足場の悪い、この歩きにくい登山道を、上から降りてくる人たちが多いのはなぜだろう?
富士山は登山道と下山道が明確に分かれているはずなのに。
コース逆行はマナー違反ではないか?

その疑問は山頂間近にすれ違った年配の男の人が解消してくれた。

―山頂は風が強すぎて下山道は危険で降りられない、だからみんな登山道を引き返して下山しているんだ…

ヒエェェェ~~ッ!
風が強い、ってこれ以上ですかぁ?
下山道は使えない、って飛ばされるの??

・・・そしてとうとう富士山頂踏破。

ゴーーーーーッ!!!

「ここは冬山ですか?」と問いたくなるような風が吹き荒れる頂上で、私たちには登頂の喜びを分かち合うような余裕もなかった。

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2008年9月18日 (木)

富士山5

翌朝は5時起床。

080918fuji15前夜からの風はおさまるどころかますます強まったようで、雲の彼方から顔を出し始めた太陽の温かな色からは想像もできないほど寒い。

080918fuji16御来光を拝むのは早々に切り上げ、朝食を済ませて身支度をする。
とにかく寒いので雪山に遊びに行くときのような装備となる。

見晴館を出発したのは午前7時。
空は青いが風が強い。

ビュ~~~~ッ…バチバチバチ…

「イテテテテ!!」
…飛んでくるのは土ぼこりではなく砂利である。

砂利が向かい風に乗って前から飛んでくるので本当に痛い。
“砂かけばばあに襲われたような感じ”と言えばイメージしてもらえるだろうか?

080918fuji17_2神出鬼没の砂かけばばあに苦しみつつ、一行は荒涼とした山肌を進んでいくのであった・・・

出発から1時間40分経った午前8時40分、本八合目(3400m)到着。
ここで荷物をおろして休憩をとることにする。

本格的な休憩で、その日登り始めてから初めて私の顔をまじまじと見たオットが「ドカタのおっちゃんみたいだ」と笑う。
オットばかりか、長男も「ホンマや!」と笑っている。

「失礼な!」と思いつつ、鏡をのぞくと…

そこには鬼瓦権造(“オニガワラゴンゾウ”。昔「オレたちひょうきん族」でビートたけしが演じていたドカタのおっちゃん)が映っていた!

私は富士登山を決行するにあたり、いろいろなことを事前に調べていた。
標高の高い場所では「日差しがキツイ・水がない・風がおそろしく強い」という情報を得ていたので、「化粧はしないが日焼け止めクリームはたっぷり塗る」「コンタクトはやめ、眼鏡を使用する」という様子で2日目に挑んだ。

その結果、眼鏡より下の部分には日焼け止めクリームに砂塵がびっしりと付着し、まるでヒゲが生えたみたいになってしまっていたのだ。

しかも呼吸しにくくなるのを恐れ、マスクやバンダナで口を覆うこともしていなかったので、顔の下半分が黒い、まさに「鬼瓦権造」そのものであった。

オットは面白がって私の顔を写真に撮りたがったが、「“店長そして番頭”さんはどんな顔をしているのかしら…」と思っている人がいないとも限らないので、イメージダウンを避けるため、写真撮影は丁重にお断りした。

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2008年9月 7日 (日)

富士山4

山小屋の夜は早い。

到着順に17時過ぎくらいからご飯が出され、食べ終わったグループから寝床へ案内される。
私たちは最後に近いグループだが、それでも床に就いたのは19時にもなっていない。

疲れてるし、ビールも飲んだしバタンキューかと思いきや、真っ暗な小屋に横たわっていても眠くならない。

さすがにこんな早く眠れるわけないか、と思ったが真横の次男は「1、2、3…Zzzz…」。
・・・早っ!
キミはのび太か?!

ちなみに山小屋では1枚の布団に2人が寝る。
トーゼン狭い。
が、昔は1枚の布団に頭・足・頭と3人が並んで寝たとか。

文句を言ってはいけない。
山では風雨がしのげるだけでもありがたいのだ。

夕方から強まった風が激しさを増してきたようで、外ではゴーゴーうなるような音がしている。
遮るもののない山にいるからだろうか、その音はまるで台風でも来ているかのように感じる。

朝には風はおさまっているだろうか…

そんなことを考えながら、なるべく音を出さないようにして(←一つの寝場所に20人弱がいて、中には夜中の2時や3時に出発する人もいるので)じっと横たわるも、やっぱり眠れない。

あんまり眠れないので気分転換に外に出てみた。
そこで見た光景は―

眼下にははるかかなたまで雲海が広がり
頭上では丸く太った月が青白い光を放つ。

月明かりは厚い雲のじゅうたんを照らし
その光は闇に幻想的な色を生んでいる…

それは神秘的な風景だった。
それだけでも富士山に登ったかいがあったと思えた。

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2008年9月 3日 (水)

富士山3

風になびく鯉のぼりの下、おにぎりを食べ、マリオバンドを貼って気力を回復した私たちはその日の宿となる本七合目“見晴館”を目指して再び歩き始めた。

080902fuji09時間は12時45分。
暑過ぎず寒過ぎず、風も爽やかで心地いい。

次の目標地点は標高2700m本六合目に位置する“瀬戸館”である。

フッ、フッ、スゥ~
フッ、フッ、スゥ~・・・

・・・フッ、ヒ~、ハ~、ヒ~…

だんだん複式呼吸も乱れてくる。

―ガンバレ、みんな!
―ガンバレ、子供たち!!

体力的にはメンバーの中でかなり頑張らなきゃいけない順位に位置しているくせに、気力面では上位に立つつもりの私である。

そうこうするうちに13時40分、とうとう瀬戸館到着!

瀬戸館前で売っているパンパンに膨らんだポテトチップスの袋が標高の高さを物語っている。

私たちの体もあの袋と同じように膨らんでいたのだろうか?
心持ち服がきつくなったように感じたのは…たぶん気のせいだろう。

休憩をとった後、次の目標地点新七合目の“大陽館”を目指して出発。
このあたりからどんどん坂道が急になり、ガレ場も多くなってくる。

午後になってから風も少し強くなってきたし、このペースで歩いて日没までに宿に着くだろうか…

少し不安を感じて歩くペースを若干上げる。
が、それが良くなかったのかもしれない。
瀬戸館を過ぎてからかなり進んだ頃、後ろを歩いていた小2のKちゃんがほとんど止まった状態になってしまったのだ。

先頭を歩いていたウチの子供たちは大分前を歩いている。
私はオットと子供を先に行かせ、Kちゃん親子を待った。

…どうやらKちゃんは立ったまま眠っていたらしい。
高山病の症状の一つのようだ。
再度歩き始めたその姿もなんとなくフラフラしている。
大丈夫だろうか?

私は先に行った子供たちを追いかけ、新七合目“大陽館”にたどり着いた。

―予定変更で今日はここで泊まったほうがいいだろう。
だんだん暗くなってきたし風もきつくなってきた。
幸い大陽館には空きがあると言うし…。

私はそんなことを考えながら大陽館の空きを一応キープし、「寒い~」という子供たちをなだめ、Kちゃんファミリーを待った。

しばらくしてKちゃんたちが登ってきた。
もう大丈夫なのでもともとの宿泊予定地本七合目の“見晴館”まで行ける、と言う。

大丈夫だろうか?
薄暗くなってきたし、大陽館のおねーちゃんに聞くと次の見晴館までは子供の足では1時間以上かかるという…。

気にはなったが標高3200mの見晴館に向けて出発。
風はビュービューゴーゴーうなり、早くも日が沈みはじめた空はついさっきまで爽やかな青空だったとは思えない変わりようだ。

高山病にならないためには呼吸を意識しながらゆっくり、着実に歩を進めるのが一番だ。
私たちはそれを実践しようとした。
見晴館につくのが日没後になってもいいじゃないか…

しかしここで長男が言い出した。
「トイレに行きたい」。

ぬゎにぃ~~?!
さっき大陽館前で、あんなに長い間休憩したのになぜその時にトイレに行かぬ!!

せっかく登った道を下って大陽館まで引き返す気になど当然なれず、かと言ってその場で立ちションなどできる雰囲気ではない。

長男はだんだん険しい顔つきになってくる・・・

私は長男と二人、早歩きで先に行くことにした。

高山病対策…などと言っていられる状況ではない。
まだかかってもいない高山病よりは今差し迫っているモンダイの処理の方が大切なのである。

すごい勢いで前を歩く人たちを抜き去り、見晴館を目指して進む…
結局私たち二人は40分で見晴館にたどり着いた。

「あ~スッキリしたぁ♪」

スッキリして良かったね。
母はヘロヘロだよ・・・

時間は16時40分。
全員揃ったのは17時15分くらいであろうか。
その頃にはKちゃんの高山病も治まっていたようだ。
さすが子供は回復が早い。

17時過ぎとはいえ辺りはすでに暗く、強い風が山の下から吹き上げてくる。

ビュ~~~ビュ~~~

狭くとも凍える心配のない山小屋にたどり着いた幸せをかみしめつつ、大人4人は缶ビールを飲んだ。
山では高いしやめとこうと思っていたのだが、4人揃って堪え性がなかったのだ。

アサヒスーパードライ350ml一缶600円也。
山での幸せは高くつく・・・

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2008年8月26日 (火)

富士山2

午前10時20分、私たちは須走口五合目を出発した。

080826fuji04山小屋が数軒並ぶゆるやかな坂道を上るとやがて樹林帯に入る。
ひんやりとした霧があたりに立ち込めている。
標高2000mの地はお盆を過ぎたとはいえ8月にしては少し肌寒いくらいだ。

フッ、フッ、スゥ~
フッ、フッ、スゥ~・・・

高山病にならぬよう、出産時に練習したような呼吸法を意識しながら進む。

今回の山登りで一番心配したのがこの「高山病」である。
高山病にさえならなければ、1泊2日の富士登山は6歳の子供にも決して無理なスケジュールではないはずだ。

「ほら、深呼吸!!」
「深呼吸を忘れないっ!!」

私は子供たちに深呼吸の必要性を繰り返し説いた。
もちろん自分自身はしゃべりながらも腹式呼吸である。

フッ、フッ、スゥ~
フッ、フッ、スゥ~・・・

ゆるやかな上りが続く樹林帯を歩くうちに霧も徐々に途切れ始め、時折青空がのぞき始めた。

080826fuji05ふと見ると前方にそびえる山…
あれはもしかして…フジ?

そこから見た富士は、形もごくフツーの山だし頂上も白くなっていない。
それになんというか、大して高そうに見えない。

「あの山に隠れて見えへんだけで後ろにど~んとあるとか?」(←ナイナイッ!)
「見た目、伊吹山とそう変わらへんなぁ」(←全然違いますっ!)

登り始めたばかりで勢いのある私たちは、下山した今振り返ると突っ込まずにはいられないようなことを各々口にしていた。

―フジノ イダイサハ ノボッテミテ ハジメテ ワカルモノナノダ

080826fuji06時々小休憩を挟みながら子連れの一行はゆるゆると樹林帯を進む。
辺りの木々は遠い昔社会科で習ったとおり、いかにも「高山に生えてますっ!」という感じの背丈の低いものに変わってきた。

フッ、フッ、スゥ~
フッ、フッ、スゥ~・・・

出発してから1時間が過ぎたが亀の歩みの一行は遅々としていて、次の目標ポイントである新六合目にはなかなかたどりつかない。

「疲れた」「おやつはまだ?」を連呼する次男を騙し騙し歩くも、“あそこまで歩いたら休憩”という目安がないので…目安が…ないので…

あった!

遠くに見える、あれはもしかして…

080826fuji07こいのぼり??

何ゆえあんなところに鯉のぼりが?という点は深く考えず、
「あの鯉のぼりのあるところが新六合目に違いない」
と口からでまかせを言う。

―あそこまで行ったら休憩してマリオバンドを貼ろうね。ガンバロウ。

フッ、フッ、スゥ~
フッ、フッ、スゥ~・・・

・・・

ヤッタ~、こいのぼりだ!!

でまかせでも何でも言ってみるもんで、こいのぼりは本当に新六合目にあった。
12時10分着。

080826fuji08_2標高2450mの新六合目はすでに雲の上である。
霧の中を歩いてきたと思っていたが、実は雲の中を歩いていたのだろうか。

頭上には青い空が広がり、雲を見下ろす位置の鯉のぼりは爽やかな風を受けて嬉しそうにはためいている。

私たちはここで少し長めの休憩を取ることにした。
おにぎりを食べ、次男にはお約束の“マリオバンド”を貼る。

ちなみに次男は今回の富士登山ではマリオバンドを計3枚使った。
あとの2枚をどこで貼ったかは定かではない。

3枚使ったのは間違いないが、私が登山中につけていたメモに「マリオバンド登場」と出てくるのはこのとき1回だけである。

でも比較的早い段階で3枚使ったのは確かだ。
なぜなら上に行けば行くほど、メモを書くことはおろか、「バンドエイドを取り出して貼る」などという余裕がなくなっていくからである・・・(まだまだ続く)

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2008年8月23日 (土)

富士山1

8月のある日曜日の夜、私たちはJR京都駅構内にたむろしていた。

夜行バス待ちの若者たちで溢れかえるその場所では、私たちの恰好は少し浮いているように見えたかもしれない。
頭には帽子、背中にはデカイリュック、足元には登山靴…

そう、今までのトレーニング(←どんな?)の集大成、富士山へいよいよ出発するのである。

今回一緒に行くN西ファミリーと合流した私たちは、はやる気持ちを抑えつつ、22:58発の夜行バス―その名も“フジヤマライナー”―に乗り込んだ。

さぁ、出発だ!
向かうは富士山の麓、静岡県御殿場市。

サヨナラ、京都…

…と思う間もなく速攻で眠ってしまった私は、夜中2,3度目が覚めたものの気が付けば朝になっていて、そこはもう御殿場市~♪

夜行バスは寝ている間に目的地に着くから便利である。

御殿場市駅前で下車した一行はトイレで身支度し、“M”のマークでおなじみの子供が大好きな某ファーストフード店で朝食を食べ、またまたバスに乗り込んだ。

今度のバスは登山バスといい、駅前から富士五合目の登山口まで1時間で行ける便利なバスなのだ。

車内は「並ばないと座れないかも…」という予想に反してガラガラである。
登山バスを利用して富士山へ行く人は少ないのであろうか?

バスは山麓へ続くゆるやかな道を曲がりくねりながら、朝霧の立ちこめる中を進んでいく。
前々日までの天気予報では御殿場は雨の予報であったが、天気はまずまずのようである。

きっと私たちの日頃の行いが良いからであろう・・・

天の神様が応援してくれているかのような空模様の好転ぶりを喜び合っているうちに、やがてバスは終点の「須走口新五合目」へ。

080823fuji02高山病対策のためここで小一時間ほどくつろいだ私たちは、この五合目にある最初の山小屋「菊屋」さんで旅のお供の金剛杖を購入。
いよいよ登山開始である。

「菊屋」のおばあさんに見送られた一行は、霧の中を元気に歩き始めた。

標高2000mの新五合目をスタートしたのは朝10:20。
ちょうど頂上で御来光を拝んだ登山者が下山してくる時間帯だ。

比較的元気な下山者もいたが、中には両手に持ったストックを頼りにおぼつかない足でヨロヨロとすれ違う、生気のない顔をした若い男性も…。

「あの人、どうしたんやろうね。無茶な登り方したんやろか?」

080823fuji03スタートしたばかりで余裕綽々の私はN西家のYちんとそんな会話を交わしながら霧の中を進んだ。

まさか私たち二人が翌日その男性と全く同じ状況になろうとは、この時点では思いもせず・・・(続く)

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2008年8月 7日 (木)

六甲登山

富士登山の最終練習をすべく、阪急電車に乗って六甲山へ。

今回の山行きを告げたとき、「エエエ~~~~~ッ?!また山行くのぉ~~~~?」と叫んだのは次男だ。
彼によると「山登りはいつも日曜ばかりで月曜はゆっくり休めないのでしんどい」そうだ。

…次男よ、ウチは土曜は休みじゃないんだよ。それにキミは今、楽しい夏休みだから月曜も休みじゃないか。

6歳にして中年サラリーマンのような次男の声は無視し、7月最後の日曜日、登山決行。

今回は芦屋から六甲山頂を経由し、有馬温泉へ抜けるルートを選んだため、阪急電車の芦屋川駅からのスタートだ。

高級住宅が続く芦屋の山の手を抜け、小さな滝のあるところまで来るとそこが「芦屋ロックガーデン」である。
ここからいよいよ登山開始、といった風景になる。

080806rokkou02「芦屋ロックガーデン」はその名の通り岩場の続く急な山道だ。
とは言っても子供も登れる程度のよく整備された岩場で、危ない場所には梯子がかけてあったりするから、悪天候でもなければそう大変なところではない…

…そう、重い荷物を背負った暑い日でなければ。

私たちは1泊2日の富士登山練習のつもりで六甲に来た。
オットと私は予行演習の意味合いも込め、それなりにたくさん荷物を担いできた。
特にオットのリュックには水や食料など重いものを詰めている。
しかもその日は暑かった・・・

080806rokkou03頭上からまともに照りつける真夏の太陽にクラクラしながらも先へ進み、時折振り返っては眼下に広がる町並みを眺めつつ、私たちはやっと岩場を通り抜けた。

み、みず・・・

真夏の登山は汗をかく量がハンパではなく、水の消費も激しい。
4L持ってきた水がみるみる減っていく。
しかもロックガーデンを抜けたとはいえ、ここからが本当の山道だ。

―ここからが本番だ。六甲山頂目指して頑張ろう!

という時になって次男が無口になってきた。

ヤバイ…早くもパワーが無くなってきたか…?
こんなときはアレを出すしかないか…ガサゴソ…

背中のリュックを下ろし、私が取り出したものは…

080806rokkou04マリオ・バンドエイド~~~!!

次男はスーパーマリオが大好きなのだ。
大好きなマリオを眺めながら頑張って歩こう、という作戦だ。

案の定、次男はイッキに元気を取り戻し、小走りに進み始めた。
前回の伊吹山でもその効果は確認済みだが、キャラクターの影響力は本当にあなどれない。

途中の水場などでの休憩をはさみながら、私たちは着実に進んでいった。

…が、結構距離はかせいだものの、オットの腕の高度計は高度500m過ぎを示したまま、なかなか高くならない。
実は今回歩いたこのルートはアップダウンが激しく、最後の300mくらいで一気に上るコースなのだ。

休み休みで延々歩いたが、最後の上りが続くあたりでまたもや次男が無口に・・・

ヤバイ…あと一息だというのに…
こうなったら最後の手段だ…

ガサ・・・ゴソ・・・

そして取り出したのは…

080806rokkou05ジャジャ~~ン♪
またまたマリオ・バンド~~~!!!

またかよ?!と思うなかれ。
080806rokkou06このダブル・マリオバンド作戦で見事回復した次男は、両腕に貼ったマリオをかわるがわる眺め、無事六甲山頂に立つことができたのだ。

ホントにすごいぞ…マリオバンド!

・・・マリオの力に改めて感じ入った私は、帰宅後富士登山の荷物リストに「マリオバンドたくさん」と加えることを忘れなかった。

ところでこの登頂後、私たちは有馬温泉方面へ向かって下山した。

080806rokkou07この日の最後の締めは有馬温泉の共同浴場『銀の湯』。
信じられないほどの自分の汗臭さに倒れそうな私たちだったが、温泉でさっぱりしたおかげで周りの乗客を気にせず、阪急電車に乗って帰宅することができた。

夏の山登りにはマリオバンドと温泉は必須だ―ウチの場合だが。

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2008年5月25日 (日)

キャラクターの力

夏の富士登山目指してトレーニングのつもりで始めた山登り。
やってみるととても面白く、奥が深くてどっぷりはまりそうな予感が・・・

で、先日行ってきたのは滋賀県の最高峰伊吹山(1377m)。

朝7時京都駅初の電車に乗り、米原で乗り換えて近江長岡へ。
さらにそこからバスに揺られること15分で伊吹山の登山口に到着する。

その日は良く晴れた爽やかな日で絶好の登山日和だった。
私たちは足取りも軽…

…いはずだったが子供たちの足取りは重い。
一緒にバスを降りた人たちはどんどん先へ行ってしまう。

080525ibuki02_2登山口からしばらくは樹木の生い茂った薄暗い山道が続く。
明るく開けたところに出たらそこは一合目だ。
そこからはずっと樹木のほとんどない見通しのいい道が続く。

樹木がほとんどない、ということは日陰もほとんどないということで、太陽の日差しが眩しい。

見通しがいい、ということはかなり先まで見えるということで、遠くの山肌に頂上目指して登っていく人たちが豆粒のように続いている。

080525ibuki04―あそこを登っていくのかぁ・・・

まだまだ道のりが長いことは一目瞭然だが、子連れの私たちの歩みは遅々として一向に進まない。

―帰りのバスの時間もあるし、頂上まで行くのは無理かも・・・

やる気満々で出発した私たちだが、早くも気分は盛り下がり気味に…。
しかも三合目付近にやっとたどり着いた頃、次男が「足が痛い」と言い出した。

靴を脱がせて見ると靴擦れにはなっていないものの、靴が当たっていると思われる部分にうっすらと線のようなスジができている。

―今日は三合目でリタイヤか・・・

半ばあきらめつつもとりあえずバンドエイドを貼ってみようということになり、救急道具袋を取り出した。

ガサ・・・ゴソ・・・

リュックの奥から袋を取り出すと、茶色のバンドエイドに混じって何やらカラフルなバンドエイドが見える。
こ、これはもしかして…

「マリオや!!」

そこには次男の大大大好きなスーパーマリオのキャラクターバンドエイドがあった。
以前スーパーで次男にせがまれて買い、2枚だけ袋に混ぜていたのをすっかり忘れていたのだ。

080525ibuki05ニコニコ顔の次男はバンドエイドをかかとと小指に巻くと突然元気になり
「マリオのパワーが~~~!!!」
と叫びながら小走りで山を登り始めた。

・・・

080525ibuki06それ以降は信じられないほどペースアップし、時々休憩しておやつの助けを借りながらも標準タイムより若干早い時間で山頂に着いた。

山頂で食べるハウスククレカレーに「うまい!」と絶叫する子供たちの姿を見られたのは、マリオバンドエイドのおかげであることは間違いない。

恐るべし、キャラクターの影響力。
ありがとう、スーパーマリオ。

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2008年5月 3日 (土)

愛宕山・月輪寺コース

今年の目標は富士登山!

…なので山登りの練習をすべく、行ってきました愛宕山。

愛宕山は京都市内ではかなりメジャーな山である。
市内の学校出身者なら小学生や中学生の頃、学校の課外活動で愛宕山に登ったという人も多いだろう。

まぁ兵庫県で言うと六甲山みたいな位置付けの山ではなかろうか。
(兵庫県南部出身者しかわからない?)

その愛宕山、去年に引き続き2度目のチャレンジの今回は主となる登山道の「表参道コース」ではなく、出発点とゴールのみが同じの「月輪寺コース」で挑んだ。

愛宕山へは自宅からバスで30分。
朝早いバスに乗ると、乗客のほとんどは同好の士と思われる服装だ。
ウチと同じように子連れの姿もチラホラ見える。

終点で下車し、登山口へ向かう。

登山口で分かれる「表参道コース」はすぐに山道に入っていくが、「月輪寺コース」は林道をしばらく歩く。

去年「表参道コース」を歩いたときは同じように登る人、あるいはすでに下山してくる人にたくさん会ったものだが、今回私たちが進んでいく林道はほとんど誰も歩いていない。
途中で車が3台追い越していったのと、一人でスタスタと林道を歩いていく男性に抜かされただけだ。

本当にこの道で合っているんだろうか・・・

ちょっと不安になりかけたころ、こんな表示が目に入ってきた。

080503atago02「月輪寺のぼりぐちです」

小屋の壁面にデカデカと書いてある表示に従い、いよいよ山道に入って行った。

月輪寺コースは比較的広めに作られた表参道コースとは違い、細く曲がりくねった普通の「山道」である。

080503atago03軍手と登山靴が役に立つようなこんな道も…。

他の登山者に全然合わず、静かな空気を満喫できるのも嬉しい。

…が、あまりにも誰にも会わないので不安に感じ始めたころ、標識発見!

080503atago04_2「年寄りガンバレ」

…ありがとう。
がんばるよ。

とにかくここは月輪寺までの中間点らしい。

まだまだ遠いなぁ・・・

くじけそうな心を励ますかのようにナイスタイミングでまたもや標識発見!

080503atago05「つらくとも
 こらえて登れ
 皆の衆
 大師聖人にあうと思えば」

…ハイ。
頑張ります。

随所に設置?された励ましの文言のおかげでなんとか月輪寺到着。
このあたりから下山してくる人に時々会うようになる。

一休みして更に山頂を目指す。

あと少し。
みんなガンバレ!

一番頑張らねばならないのは私だ・・・

軽やかに登っていく長男
軽やかではないが大汗をかきつつ登るオット
文句を言いながらもおやつの助けを借りながら登る次男

の後姿を見ながら最後尾を歩く私は自分で自分を励ましながら登った。

そしてやっと・・・

やったぁ!
愛宕神社到着!!

…それにしても、人が多い・・・

山頂は神社になっているのだが、その前の開けた場所ではたくさんの登山者がお昼ご飯を食べていた。
この人たちはみんな表参道から来たのだろうか?

静かな道中からは想像がつかないほどそこにはたくさんの人たちがいた。
それだけ京都の人にとっては馴染みの深い山なのだろう。

手軽で楽しい愛宕山。
次回はどこへ行こうかな。

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