目指せ!天然発酵建て
工房の染め体験教室にはいろいろな方が来てくださる。
多彩な顔ぶれの皆様から仕事や趣味についてお話を伺うのも楽しみの一つであり、こちらが教わることも多い。
昨日紅花染め体験にいらしたUさんはまさしくそんな一人だ。
Uさんは奈良県の箱本館という紺屋(藍染め工房)で普段はお仕事をされている。
その外見からは想像がつかないが箱本館の藍(すくもの天然発酵建て)を建て・管理する藍建て師なのだ。
もちろん最初から体験教室に来る方の職業など知っているはずはなく、共に過ごすうちに大概何となく知ることになる。
「実は私、奈良の箱本館で…」
キラリッ!
―私の目が輝くのが自分でわかった。
箱本館?
藍建て?
あぁ、何という運命のめぐり合わせだろう。
神は私に天然発酵建ての極意を授けるべく、天然発酵建てのプロ、Uさんを遣わしたに違いない!
―勝手な思い込みで私の胸は高鳴った。
しかし今日はUさんは紅花染めの体験に来てくださったのだ。
そこんとこを忘れてはいけない。
いきなり藍について質問攻めにするのはお門違いというものである。
―私はチャンスを窺いながら素早く頭の中で聞きたいことを考えた。
質問1:藍を建てるためのポリバケツの大きさはどのくらい必要ですか?
質問2:藁灰で灰汁を作ったのですがよかったのでしょうか?
質問3:灰汁はどのくらいの濃さが必要なのでしょうか?
質問4 …
質問を10くらい考えたころ、タイミングよく藍の話ができるチャンスが巡ってきたのでまず「質問1」のポリバケツについて聞いてみた。
「この夏、ポリバケツで藍を建てて失敗したんですけど、自宅で藍を建てるんだったらどのくらいの大きさのポリバケツが要りますか?あのバケツを使ったんですけど…(とベランダのバケツを指す)」
「そうですね…自宅で安定した藍を建てるんでしたら最低120Lですね…」
最低ヒャクニジュウ?!
―思わずのけぞった。
大きさ、全然足らんやん!
ちなみに私は35Lのポリバケツを使っていた。
Uさんによるとすくもだけの天然発酵建ての場合、容器が小さいとうまく藍が建たないそうだ。
…でもウチで120Lより大きい容器って…フロしかないやん。
フロは室内にあるし、ここで藍建てたらクサイやろうなぁ。
質問1の回答にいきなり正常な思考回路が飛んだ私は、その後は本能の赴くまま、聞きたいことをどんどん聞いていった。
もちろんメモをとりながら…
灰の入手先、灰汁の作り方、すくもや湯の量、建て方の細かい手順、ポイント…
根掘り葉掘り聞き出し、この通りにすれば今度こそ大成功間違いなし!と思える、スバラシイ藍建ての覚え書きができあがった。
よし、これで大丈夫。
大きな容器をセッティングできる環境が整ったら、この覚え書きの通りにやってみよう。
でもしばらくは小さな容器でやってみないとなぁ…
聞きたい事を聞き、ひとり悦に入る私。
しかし考えてみたらUさんは染め体験に来てるんだよな。
私ばっかりいろいろ聞いてゴメンナサイ。
…と反省しつつ、家路へ急いだ。
そう、聞くだけ聞いて時間切れとなったので私はUさんの紅花染め体験教室を最後まで見届けることなく、帰ってきてしまったのだ。
後は店主とスタッフR子に任せて。
Uさん、今日は本当に失礼致しました。
そして本当に本当にありがとうございました!!!
これでまた今度ガンバル気が湧いてきました!
やるぞぉ!
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