さようなら、藍次郎。
出会いあれば別れあり。
生あるものはいずれ死す。
藍次郎ともとうとうお別れの日がやってきた。
冬を越したとはいえ染める力も弱まり、もう回復の見込みがなくなってきたので石灰を入れるなどの延命治療を施すのをやめたのだ。
あとは自然の流れに任せて・・・
と放っておいたら、暖かくなったせいかすぐに表面にカビが生えてしまった。
カビは細かい波状の形をしており、見方によっては芸術的だ。(←ホンマか?!)
しかしカビはカビ。
このまま野放しにしておくわけにはいかない。
それにそろそろ藍三郎プロジェクトも始動しつつある。
私は意を決して藍次郎の処分に取り掛かった。
作業中は独特の、あまりいいニオイとは言えない臭いが立ち込めるので、作業はお客様のこなさそうな、雨の午後に行うことにした。
藍次郎の蓋を開ける。
カパッ・・・
ぷ~~~~~ん。
独特の臭気が漂う。
しかしその臭気は元気な頃の藍次郎とは異なるニオイだ。
私は思い切ってそのニオイをたらふく鼻腔に吸い込んだ。
…意外とイケル…かも・・・
この場合の“イケル”とは“いいニオイ”という意味ではない。
が、想像していたよりはマイルドなニオイだった。
園芸作業で赤玉土や腐葉土に堆肥などを混ぜ込んで土作りをするときのニオイにちょっと似ている。
藍次郎程度の量なら、腐敗臭というほどのニオイにはならないのかもしれない。
―藍次郎、さようなら・・・
想い出に浸りながらせっせと上澄み液を布で濾しているところへ、学校帰りの次男が現れた。
「クッサ~~~~~!!」
・・・愛情がないとやはりクサイらしい。
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